CROSS TALK 座談会

営業職の私は、最初の配属先が本社の首都圏事業部です。生産技術職、製造職としてキャリアをスタートされた皆さんは、どういう経緯で現在の部署に来られたのですか？

養豚業の6次産業化を自社で完結しているなら、生産以外のさまざまな仕事に挑戦できる。私はそう考えて当社を志望しました。上司からも「他の部門に興味がわいたときは遠慮なく話してほしい」と言われていたので、入社4年目を迎えた今年の春に本社への異動を希望しました。牧場の仕事が大好きだったので「今でいいの？」と何度も自問しましたが、3年間、私なりにベストを尽くして打ち込んできましたし、20代のうちにアクションを起こしておきたくて。

製造部門で3年以上経験を積み、次のステップを考えていたときに組織改編で品質保証室が創設され、声をかけていただきました。私は理系学部出身で、品質管理にも興味があったので素直にうれしかったですね。工場でマネジメント職をめざすという選択肢もありましたが、小菅さんと同じで新しいことに挑戦したいという気持ちが勝りました。

私は個人的な事情です。秋田県の牧場からほど近い場所で暮らしていた家族が神奈川県に転居することになったので、県内の部署への異動を希望しました。人事部と聞いたときには驚きましたが、異動が叶わなければ転職するしかないと思っていたのでありがたかったです。

どんなところに仕事の面白さを感じていますか？私は担当エリアのスーパーや専門店でいろんなお客さまにお会いして、商品への要望や期待について聞くのが楽しいです。

フリーコールの電話で消費者の皆さんの声を直接聞けることです。「どこで買えますか」「どうやって食べるのがおいしいですか」などの問い合わせだけではなく「おいしかったのでまた買います」といった声も。ときには品質についてお叱りを受けることもありますが、その要因を特定して再発防止策を検討することもやりがいの1つです。

本社への問い合わせ電話は総務部でも承りますので、私もそういう声を聞くと励みになります。リース車両・物件の管理から慶弔の対応まで、やることがたくさんあって慣れるのにはまだまだ時間がかかりそうですが、緊張感を維持しながら牧場時代とは違った楽しみも感じながら仕事ができています。

わかります。私も入社から3年以上、牧場で豚のことだけを考えてきましたので、労務や給与業務を通じて社員を支えている今がとても新鮮です。会社は人がいなければ成り立たないということを改めて実感しています。

牧場や製造工場で仕事をしていたとき、他部門のことはどう考えていましたか？

牧場から出荷した豚が、スーパーや飲食店に届くまでの流れは理解していました。フリーデンのベーコン・ハムを食べた家族や友達から「おいしかったよ」とメッセージが届くと、商品になって消費者のもとへ届いているんだなとうれしくなりました。でも、製造や営業の方がどんな仕事をしているかというところまで考えを巡らせている余裕はなかったですね。目の前の仕事を進めるのに精一杯でした。

私も倉石さんと同じです。豚の管理に集中していたので、出荷した豚が食肉センターや製造工場でどう処理されて商品になるのか、というのはあまり考えたことがなかったです。でも牧場では私なりに精一杯の愛情を注いで豚と向き合っていましたので、出荷に立ち会うときはいつも「いってらっしゃい」と声をかけ、「余らせないで使い切ってほしい」と願っていました。

私も実務研修で1年間、牧場にいたときは小菅さんと同じことを願っていました。ですから製造工場で原料処理をしていたときはロスなく使い切ることを第一に考えていましたね。

製造と他の部門との関わりはどうですか？

業務本部、営業部とは密に連携をとっていましたね。たとえば伊勢原工場で製造しているベーコン。製造職としては脂がのったバラ肉が欲しいのですが、営業部からは「脂身を気にされているお客さまもいるので対応してほしい」とリクエストがあり、業務本部に肉の選定をお願いしたことがあります。これができるのは養豚の6次産業化を社内で完結している当社ならではでしょうね。

私自身は今、お客さまのニーズに応えることを最優先に考えて営業活動と社内へのフィードバックをおこなっています。これから先、会社が売りたい商品とお客さまのニーズがマッチしないことも出てくるかもしれませんが、コミュニケーションによって課題を解決し、育てる人、つくる人の想いに応えられる営業職になりたいと思います。

企業理念の「安全・安心・おいしさ」のために心がけてきたこと、実行してきたことはありますか？

牧場の仕事はすべてが「安全・安心・おいしさ」に直結しています。特に豚熱対策はそうですね。具体的な防疫対策としては全頭へのワクチン接種がありますが、接種しても検査結果が陽性になる場合がありますので、ワクチンだけに頼らず、人の入場制限と消毒を徹底して病気を牧場に入れないようにしていました。

ワクチンを打つ場所や回数も商品の品質に影響しますので、傷が残らない場所を選び、豚にストレスを与えないよう1回で規定量のワクチンを注射することを心がけていました。

人にとっては肩に打てれば楽なんですよね。でも、肩ロースにはわずかな傷も残ってしまう。私が製造部にいたときにそれが課題として上がり、業務本部と協議して他の場所に打つことになりました。

品質保証室はまさに「安全・安心・おいしさ」を守る部門ですよね。

そうです。でも厳密に言えば、「おいしさ」を追求するのは製造部の仕事で、品質保証室が何よりも優先するのは「安全・安心」の確保。製造部が創意工夫して生み出したレシピや製造工程、衛生管理体制などを、お客さまのお申し出等に応じて検証・調査し、「安全・安心」の裏付けをとるのが私の仕事です。そうして「安全・安心」と「おいしさ」の両立をめざしているのです。三浦さんはどうですか。営業として取り組んでいることはありますか？

主体的に提案営業ができるようになるにはまだ時間がかかると思いますが、商品を購入するまでの経路をお客さまが容易に辿れるのが当社の良さ。私自身も牧場で実務を経験し、今でも牧場の上司や仲間と連絡をとっていますので、スーパーや専門店に生産者の顔が見える売り場、加工品も生肉も並べられる売り場をつくってお客さまに「安全・安心・おいしさ」を提供できればと思っています。

学生の皆さんに伝えたいフリーデンの良さってどんなところでしょうか。私は自分がアレルギー体質なこともあって、加工品に添加物を使わず、コストダウンのための増量もしないこと。そして、誰に対しても自信を持って「おいしいよ」と薦められる商品があることが一番の魅力だと思っています。

よく分かります。私も伊勢原工場でハム・ソーセージ・ベーコンをつくっていたときは、おいしさ、品質とも、どこにも負けていないという自信がありました。その商品をお客さまに販売する営業担当の人たちも「安全・安心・おいしさ」を届けることに誇りを持っているからお客さまとしっかり向き合えるのだと思います。

入社後の早い時期から責任のある仕事を任せてくれるところも当社の良さ。特に最初の配属先となった牧場ではそうでした。少数精鋭体制というのもあると思いますが、研修期間が終了した後「豚の管理は状態に合わせて調整できるから、まずは自分の思ったとおりにやってみよう。フォローしますから」と上司に言われたのを憶えています。その言葉のおかげで気持ちがすごく楽になり、仕事を楽しむ余裕ができました。もちろん、失敗もありましたけど、チャレンジすることで成長できました。

私もたくさん失敗をしましたが、上司や先輩に責められたことは一度もありません。失敗の原因をきちんと説明してくれて、同じことを繰り返さないためにどうすればいいか一緒に考えてくれる。それは総務部でも同じなので、社風として根付いているのだと思います。

製造工場で発注ミスがあれば、前工程の食肉センターや物流、後工程の営業に何らかの影響を与えてしまいますが、当社はすべてが繋がってるからミスを迅速に処理できる。それも6次産業化を自社で完結しているメリットでしょうね。また、SDGsへの取り組みや働き方など、社会の動きに合わせて柔軟に取り組み方を変えていけることも当社の魅力だと思います。